2024年11月26日火曜日

『アメトイブームはどこへ行ったのか』雑感

いきなりトランスフォーマーの話から外れたように見えるが、私にとってはトランスフォーマー関連の話。


この本は筆者による紹介ポストで知って、「もしかしてトランスフォーマーへの言及があるんじゃないか」と思い、買ってみることにした。


私は地方在住で新発売のトランスフォーマーを店頭で買うのに不自由する環境におり、トランスフォーマーについて「マーベルレジェンドよりは買いやすいアメトイ」というイメージを持っている。

それで、アメトイブームの話ならちょっとでもトランスフォーマーの話が出てないかと期待しました。


以下、特に印象に残った点について。


①80年代のトランスフォーマーファンについての言及(高井近志氏)

Blueskyのタイムラインでも話題にされていたこのお話。この箇所で大変テンションが上がってしまった。80年代のトランスフォーマー研究同人誌、ちょっと読んでみたいよね…。今よりはるかに情報が手に入らないだろう当時、どんな情熱で作られたのか。

ところでこの同人誌、どうも2024年にネット上で取引があったようす…


②石川裕人氏

トランスフォーマーの翻訳コミックを読んでいる方はもちろん、和製TFアニメ好きの方もご存じの石川氏。目次で名前を見て驚きました。基本的にアメコミ日本導入のために尽力された事についてのお話なのでTFへの言及はわずかですが、それで十分。

私はジャイブが翻訳を出したDreamwave版G1をずっと愛読しているのでジャイブの名前が出ただけで満足です。(もの知らずなことに…Dreamwaveは最悪な出版社だったのでこれは恥ずべきことです)


③佐世保(岩永ヒカル氏)

これはTFと関係がない話。

岩永氏へのインタビューで、氏の出身地である佐世保の話が出てくる。佐世保には米軍基地があり、家族がそこで働いていた氏は基地を通してアメリカ文化との関わりができる。

私は学生時代に村上龍の小説やエッセイばかり読んでいた数年間があって、佐世保は彼の出身地である。村上龍と言えばアメリカというかアメリカ文化というか、そういう連想をする人もいるんじゃないだろうか。

佐世保は米軍基地がある以上良くも悪くも、アメリカ文化と出会う窓口になるんだなと一人で感慨にふけってしまった。



他にも、こんなすごい人がいるんだなとへこんだり(なぜ)、この感覚はわかるぞと共感したり、私自身は90年代のアメトイブーム自体を知らないのだけど楽しい本だった。

この本での聞き取りがなければ、恐らくいつか消えて分からなくなってしまう事ばかりで、そう考えるとこれは大変貴重なインタビュー集なのでは…。


TFに関する話はほんの数行、でも期待以上の内容でした。

筆者、しげるさんの〆の言葉もいい。後追いだからこそ終わらない熱狂、ありますよね。


アメトイブームはどこへ行ったのか 90年代フィギュアブーム、熱狂の舞台裏

2024年10月31日木曜日

Transformers #13(スカイバウンド)

第3ストーリーアークの始まり。
これまでの話の流れから外れて#13~14ではスタースクリームの過去が描かれる。

登場人物
①過去
●オートボット
オプティマス・プライム
バンブルビー
??(シルエットのみ)
●ディセプティコン
Genvo …かつてのスタースクリームの友人
オーバーチャージ
ショックウェーブ
メガトロン
●その他
Ulcter …かつてのスタースクリーム
ジェットファイアー
カップ
オメガ・スプリーム
②現在
●ディセプティコン
サウンドウェーブ
レーザービーク(シルエットのみ)
●地球人
・M.A.R.S.の人たち(G.I.ジョー関係の組織だが名前のあるキャラクター達ではない様子?)

※まずスタースクリームの旧名が読めない。
 取りあえずウルクターとします。友人はジェンボで。

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お話は#7、サウンドウェーブとスタースクリームの戦いの決着シーンから始まり。
スタースクリームは破れ、体内の何かのパーツを奪われ火口に打ち捨てられる。
瀕死の彼のブレインモジュールに走馬灯がよぎる…

過去。
オートボットとディセプティコンの戦争がまだ拡大してない頃のサイバートロン星。

ウルクターとジェンボは、サイバートロン星のエネルギー危機を救うため宇宙へ飛び立つ友人のジェットファイアーと別れの夜を過ごす。
ウルクターの目は青く、顔つきもあどけなく、まだ若そう。ウルクターとジェットファイアーにはインシグニアもない。一方のジェンボはすでにディセプティコンに加入しており、二人にも加わるように説きますが、二人にその意思はなく。
戦争や革命で運命が引き裂かれる友人たちの図そのものだなあ。

ジェンボが地面のターボセクト(虫?)を叩きつぶそうとして、それを止めるウルクター。
ウルクターの善良さが強調されるシーンですが、直後三人の頭上をオメガスプリームがゆっくりと飛んでいく。
ウルクターは突如近くにあった軍の施設に飛び込み、爆破事故を引き起こす。
なぜかというと「オメガに自分たちを、自分を見て欲しいから」。
…将来の片鱗をのぞかせる危ない人でした。
この辺りは詳しく分析されている方もいましたが、青い目や表情で純真さを描きつつ、スタースクリームとしての自己中心的な部分はすでにあったのだと見せるエピソードなのかなと思います。
ちなみにこれもどなたか指摘されていましたがオメガの三人称はTHEM。これ大事ですね。

さて、ジェットファイアーは宇宙へ旅立っていき(この辺りでウルクターの目が赤くなってる一コマは間違い?)、場面は暗転。

ウルクターの仕事場の外で戦闘が起こっているシーンへ。
何かオーバーチャージぽい人が戦ってるんですが、スカイバウンド版において現行玩具でラインナップされたマイナーキャラは初登場では…。
そもそもマイナーキャラ自体が出てきていないのでちょっと驚きでした。
戦闘の中ウルクターはジェンボに助けられますが、何とそのジェンボが銃弾に倒れウルクターの腕の中で息を引き取ることに…。

ところでこのユニバースのトランスフォーマーに「死」はあるんでしょうか?
私はこれまでの展開で「不死」だと思っていますが、各キャラクター達が仲間の「死」を悲しむシーンは何度も出てきます。
オプティマスもその喪失の痛みから過去に戦い狂った時があったようです。
その一方で十分なエネルギーとテクノロジーによってリペアされて再登場したキャラもいます。
この辺りは敢えてぼかされている気もしますが、#8を思い出すと…?

さて現在に戻って火口で意識を失った(ステイシスロック?)スタースクリームが、M.A.R.S.の部隊に回収されます。
隊長はなかなか味のある悪そうなおじさんですが、「G.I.ジョー」で名がある人ではないらしい。
今の自分のポジションに不満を抱え、スタースクリームを使って一発逆転を狙うというおいしいキャラなんですが。

そして舞台は過去に戻り、ジェンボを抱えて孤独にさまようウルクターはメガトロンに出会います。
まだ若いからかメガトロンは悪ガキみないな顔でかわいいです。
ウルクターに復讐と軍に加わることを説き、銃に変形してウルクターの手に飛び込みます。
…銃?
いやー、突っ込み所しかないオルトモードなんですが、もしかして戦車に変形しつつ銃ぽくなれるメガトロン玩具を出す布石なのかこれ、と思っちゃいました。

メガトロンを手にジェンボの死体に目をやったウルクターは、自らをスタースクリームと名乗ります。その目も赤く変わっています。
スタースクリームの誕生。これは怒りのためなのか、それともメガトロンには他者を洗脳する能力があるのか…。

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ちょっと#14を待たねば分からんことが多い号だった気がします。
個人的にはこれまでと比べてやや薄味?抑え気味に書いた話のようにも思います。

しかし喪失の悲しみからウルクターがスタースクリームへと豹変したのなら、
#6でカーリーに向けた「WHAT IS DAD?」は、やはり彼が地球人を理解するきっかけになるのでは?
カーリーの怒りと悲しみを理解することで…殺人犯は彼自身ではありますが。

今後のお話が楽しみです。